「みんな博士号をとって帰ってくるじゃないですか?」「それが、実際にはそうでもないんだ。古い統計だが、十年ほど前の韓国文教部の資料によると、アメリカ留学生のうち博士学位をとれた比率は10%、ドイツの場合は3%にすぎない。博士学位をとるのはごく少数の人たちだけだ。だれもがドクターの肩書きつきで帰ってくるようにみえるのは、成功した人だけが目立つからだろうな。失敗した人はそのことをなるべく口にしないだろうし」「はあ、その原因がまさに語学力の不足にあるということですか?」「それだけとはいえないが、専攻分野によってはもっとも大きな失敗要因となるだろうな。もちろん語学力に乏しくても、ドクターをとれる人もいる。研究内容を実験の結果や数字なんかで示せる理工系分野などはそうだね。でも、言葉による説明や論文が中心となる人文社会系では、成功率はぐんと低くなるはずだよ。正確な統計はわからないけど、たぶんそんなところにちがいない」