天才哲学者ショーペンハウェルもその主著「意志と表象としての世界」を書いたのは20代の若さであり、その一方で若い頃は目立たず少しずつ努力を重ねたカントは、50才を過ぎてから次々に著作を発表し、ヘーゲルと並んで世界哲学史上に不滅の金字塔を打ち立てました。晩年になってから偉大な仕事を成し遂げたカントやヘーゲルに比べてしまうと、若い頃天才と呼ばれたシェリングとショーペンハウェルの名は、どうしても陰に隠れてしまいます。人間の可能性は無限です。少しずつ努力を続けていけば、長い時間が経過するうちに驚くほどの力が養われて来ます。しかも、ものごとを真剣に深く捉え、自己のエゴイズムの中では終わらない、周囲への広がりを持った思考力は、そうした地道な努力の上に少しずつ形成されてくるものなのです。それをあまりに早期から大切な青年期に至るまで、単なる問題解きや暗記などに終始させたのでは、その可能性の芽を摘んでしまうことにもなりかねません。
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